5歳から始めること(子どもの口の中は、何歳から気にしたらよいでしょうか?)中期
5歳から始める前期の続きです。前期は5歳半あたりから8歳くらいまでかかって上下の永久歯の前歯4ほんづつと乳歯の後ろに6番目の六歳臼歯(第一大臼歯)が上下左右1本づつの4本が生えてきます。合計12本永久歯が生えそろったらここから2年間生え変わりのお休みの時期に入りますが、子のお休みの時期が中期になります。
むし歯のこと
この時期でも仕上げ磨きは大事です。この時期は上の永久歯の前歯の歯と歯の間(歯冠隣接面)と、歯と歯肉の隙間(歯頸部)が危ないです。ここは毎日仕上げ磨きしましょう。また6歳臼歯の溝も危ないです。仕上げ磨きしましょう。6歳臼歯の溝はフィッシャー・シーラントという予防法も有効です。歯科医院で施術してもらいましょう。下の前歯も永久歯ですので、仕上げ磨きしましょう。乳歯も磨いてあげましょう。
むし歯予防に、シーラントとフッ素が有効です。フッ素は歯科医院で塗る方法(フッ化物塗布法)よりも毎晩お家でするうがい(フッ化物洗口法)のほうが効果的です。夜の歯磨きの後、就寝前に1分間フッ素をうがいして寝ましょう。
キシリトールを上手に使う
むし歯の予防にキシリトールを使う方法があります。矯正や咬合誘導でチューイングガムを使ったガムトレーニングは有効です。キシリトールのガムはむし歯になりにくいので当院でも活用しています。
キシリトールのタブレットを就寝前に食べさせるという指導があります、キシリトールはそれ自体はむし歯になりにくいですが、食事の最後にキシリトールを採れば、それまでの糖がすべて解消されるわけではありません。
キシリトール・タブレットを就寝前に食べさせる方法?
ところが、就寝直前に、こどもに“甘いタブレット”を食べさせる食習慣はいただけません。なるほど糖尿病患者にはキシリトールが推奨されます。糖尿病では膵臓からのインシュリンに期待できないので、キシリトールをつかいます。キシリトールはインシュリンによらない分解吸収されますので、インシュリンは出ません。アジア人種は欧米人より膵臓からのインシュリンが少ないので、就寝時は膵臓を休めないといけません。就寝直前に“甘いタブレット”を食べさせる食習慣を子どもの時代に植え付けてしまうのには反対です。終生、キシリトール・タブレットで行けますか? 砂糖菓子やチョコレートなどに、いつしか移行しませんか?また、キシリトールにすこしでもショ糖が入っていれば酸産生はショ糖のそれと同じになります。
これは、肥満防止・健康のためには就寝の2時間前からは砂糖の入っていない水ものしか口にしてはいけないという理由とも合致します。
8歳から2年間の生え変わりのお休みの時期の歯ならび・噛み合わせのこと
側方歯群交換期の前にことは出っ歯の噛み合わせ(過蓋咬合)を治す時期です。正常咬合ではあまりすることがない時期です。出っ歯には2通りあって、頭蓋骨に対して上顎が前方に偏位している症例と、頭蓋骨に対して上顎骨の位置は正常だけど下顎骨が小さく後方位である場合(小顎症)です。出っ歯かどうかは犬歯関係を確認します。まえから3番目の歯を犬歯といい、上の3番目が下の3番目と4番目のあいだに噛みこんでいるのを、正常咬合(1級)といい、それより前にずれていれば出っ歯、後ろにずれていれば受け口です。
この時期に、出っ歯の顎間関係を正す咬合誘導をすることになります。
歯ならび・噛み合わせ
歯が歯列のアーチの中にきれいに並んでいるかを「歯ならび」といいます。歯がガタガタしているのを乱杭歯(叢生)といい、犬歯がひっくり返っているのを八重歯といいます。
これに対し、上下の関係がずれているのが「噛み合わせ(顎間関係)」です。口は上あごと下あごが噛みこんで作られます。上あごが出ていたり、下あごが引っ込んでいるのを「出っ歯」といい、下あごが前に出ているのを「受け口」とか「反対咬合」といいます。