0-1-2歳にできる事、するべきこと。

0-1-2歳にできること

 口腔機能の発達に、かかせないのが0-1-2歳の過ごし方です。
口腔の機能って何でしょうか?
 昔は2つ・咀嚼 と・発音 でした。今はそれに・呼吸 と・審美 が加わって4つです。咀嚼には嚥下(飲み込むこと)も付きました。

口は1)呼吸
2)咀嚼・嚥下
3)発音(構音)
4)審美

が求められるようになりました。

 呼吸なんて当たり前・・・そうです、口で息しても、鼻で息しても、どうやっても生きてゆけるんです。「そんなの、口の機能でも何でもないやい!」とおっしゃる方もいます。
 口から喉にかけての空間を使って、3つの仕事を行います。

  1. 呼吸(鼻呼吸)
  2. 嚥下(食べ物を飲み込んで肺に入れずに、胃に入れる)
  3. 発音

これらを2つの弁(軟口蓋、喉頭蓋)を切り替えて、3つの空間を喉に作って仕事します。
これらがうまく働かないと、誤嚥性肺炎を起こしたりするんです。
 そして、この弁は随意筋でなく軟組織でできていて、これらは口腔の圧力を高めて切り替えを行います。
 幼少期学童期にこれらの機能を高めておかないと、老年になって てきめんに嚥下障害を引き起こします。

子どものうちに「嚥下」の訓練をしていないと
高齢になってから「誤嚥性肺炎」になりやすい

「歯が生えるまで、やることがない」わけじゃないんです。でも0歳児、1歳児で、意思の疎通もままならない時期に、筋トレは難しいものです。

おっぱいはいつまで いいの? いつまでもいいんです。
「断乳」でなく、「卒乳」しましょう。

 断乳は大人の判断で児から母乳を取り上げてしまうこと。「卒乳」は子どもと相談しておっぱいを卒業すること。
医学的な判断や、社会的な問題で母乳を辞めなければいけない場合もあります。そういう場合はいくらでも、その先にリカバリーできます。けっして母乳育児ができなかったから、その先の人生にハンデを追うわけではありません。でも、母乳育児がBESTではありますが・・・

歯医者は1歳過ぎると「むし歯になるから1歳過ぎたら断乳しろ」といいます。ほんとにそうでしょうか?

 口腔機能を発達させるために、母乳育児はいい方法の一つです。いろいろな事情によって すべての子どもが母乳で育てられるわけではありません。しかし歯医者が「むし歯になるから断乳しろ」というのだけは違います。
 母乳育児で培われる、優しいこころ、健康、栄養面。長期に渡る恩恵、そして口腔機能の発達は素晴らしいものです。完全母乳でも、混合栄養でもどちらでもいいです。母乳保育は いろいろなトラップがあります。ダンナだったり実母だったりからの「世間体が悪いからやめろ」だの。それらに負けずに工夫して長く続けましょう。かわいいかわいい我が子のためです。世間体より この子の将来を考えましょう!

なぜ母乳が口腔機能の発達にいいのか?

 おっぱいを飲むことは、本能です。生まれて誰からも教わらないのにできるんです。これは原始反射の組み合わせからできることです。頬に乳首が触れると、赤ちゃんはそっちを向きます。乳首をくわえるとゴクゴクと飲みます。それらは誰の教えがなくても、原始反射の組み合わせでできるのです。お母さんのほうも射乳反射でおっぱいを出します。そしてこれらの原始反射というのは、生後ある時期が来ると消失してゆきます。
 いっぽう食べ物を食べる摂食・嚥下機能は後天的に学習する機能です(いわば訓練です)。離乳食には進め方のスケジュールがあります。離乳食の意味合いには、一つは母乳だけでは鉄が足りなくなりがちなので離乳食から補うという意味合いがあります。もう一つは、本能である母乳を飲むという行為から、摂食・嚥下にスムーズに移行させるために離乳食という訓練があります。
 たまに「母乳は良いから、母乳だけで2歳過ぎまで育てなさい」という歯医者がいますが、明らかに間違いです。2歳過ぎまで母乳だけでは絶対的な栄養の量が足りなくなります。それに原始反射が消失しきってからでは摂食・嚥下の訓練にうまく移行できません。
 母乳と離乳食でも、混合栄誉と離乳食でも、長く続けられればいいですね。

 MuscleWins!という矯正の治療方法の創始者である近藤悦子も、はならび噛み合わせの基本は母乳育児からだと言っています。近藤は、少なくとも1歳7か月までは母乳栄養を続けたほうがはならび噛み合わせにはいい影響が出るといっています。もちろん母乳だけでなく離乳食もきちんとはじまっているのが前提です。

では 母乳栄養だけが歯並び・噛み合わせにマストなのか?ベストなのか?

 そんなことはありません。母乳と同じような筋肉の動きを、こちらの指示が理解できる3歳あたりから筋トレを始めればいいです。具体的には、吹き戻し(ピロピロ笛)や、風船を口で膨らませるなどの筋トレを行います。
詳しいことは、来院してご相談ください。その児にあった方法をお教えします。

 繰り返しますが、いろいろな理由で母乳を辞めなければいけない場合もあります。そういう時でも、その先に いくらでもリカバリーできます。けっして母乳ができなかったから、人生にハンデを追うわけではありません。大切なのは「どの時期」に「何の訓練」を行うかを、知っておくことです。母乳を飲んでいる時期のこどもは、こちらの指示に従ってくれないことが多いものです。そこはこどもの口腔機能の発達にノウハウのある歯科医でないと対処できません。

母乳育児がBESTなのは言うまでもありません。「母乳育児だけをしなさい」というわけわけではありません。
でも、心の発達にも、体の発育にも、免疫にも、そして歯並び噛み合わせにも良い影響がある、母乳育児ができるなら喜ばしいことことです。

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