0-1-2歳の歯磨き

0―1-2歳の歯磨き

歯が生えたら仕上げ磨きを始めましょう!(ちなみに、仕上げ磨きの卒業は小学校卒業あたりです。後述)

  • 歯の磨き方は?
  • こどもの歯は何回磨くの?
  • いつ磨けばいいの?

こどもは上手に歯が磨けません。歯が生え始めたら仕上げ磨きを始めましょう。
まず生後4=8か月くらいで下のアゴの前歯が生え始めます。
そうしたら歯を磨きましょう。シャベル状の前歯なら、ハブラシでも、ガーゼなどの布で拭うのでもOKです。
歯磨きシートという製品も売られています。
前から4番目の奥歯が生えたらハブラシです。
乳歯は真ん中から数えて5本あります。数え方はA~B=C=D=Eです。

4番目と5番目の溝のある歯(臼歯)はハブラシでないと溝が磨けません。

 仕上げ磨きにあまり時間が取れません。こどもは あっという間に飽きて暴れ始めますので、効率よく磨きましょう。 1)一番むし歯になりやすいのは上の前歯の裏表です。うわくちびるの裏に上唇小帯という水かきみたいな筋がありますが、ここを痛めると抵抗されますので、母の指で押さえて前歯をごしごしし磨きましょう。

次に上の奥歯の頬っぺた側がむし歯になりやすいので、母の指で引っ張って磨きましょう。頬っぺた側をみがいたら噛む面(咬合面)そして内側を磨きましょう。それを左右磨きます。

3番目にむし歯になりやすいのが下の奥歯の内側です。
ここのハブラシを差し込むと、猛烈にベロで押し返されます。ひるまずに磨きましょう。内側―咬合面―頬っぺた側を左右磨きます。

最後に下の前歯に戻ってきましょう。下の前歯は常に舌で舐められるので 恐ろしくむし歯になりにくい場所です。ところが、ここから生えてくるので ついつい ここから磨いてしまいますが、こんなむし歯にならないところで時間を使ってしまうのはもったいないことです。

下の前歯だけはむし歯になりにくい

昔「むし歯の洪水」という時代がありました。甘いものは食べ放題、仕上げ磨きなんかしない。そんな時代でも、下の前歯だけはむし歯にならなかったんです。

歯は1日何回磨くの?

むし歯は、口腔内常在菌である「むし歯菌」が砂糖を食べてプラーク(歯垢)を作って歯にくっつき、その下で「酸」をつくって歯を溶かす病気です。プラークをためておくと、その下で歯が溶けています。
酸を作るむし歯菌は数種類が確認されていますが、こどものむし歯はミュータンス菌が主です。にならなかったんです。

砂糖と、むし歯菌がいて、歯の質が弱かったり唾液が少なかったりして、汚いまま24時間以上時間が経つと歯が溶けだします。

「ミュータンス菌の母子感染の防止」はウソ!

ミュータンス菌は、生まれたときには口の中にはいません。その後、母だったり兄弟だったり、養育者から伝染ってきます。そこで「母子感染の防止」と言って、「同じ食器を使わない」だとか「口移しをしない」だとかの指導をする歯医者がいますが、現在は否定されています。スキンシップのほうが大切ですので、気にしないで養育してください。

むし歯の予防はカイズの3つの輪のどれかを取ってやることです。
砂糖を食べると、2~3分以内にpH5.5以下になります。pH5.5は歯が溶けだす限界です。
できた酸は唾液によって薄められ、15~20分で元の中性(pH7.0)まで戻ります。
これをステファン・カーブといいます。

この繰り返しが 激しいと歯が溶けていきます。
「むし歯にしないために、おやつを与えない」は間違いで、「食べている時間と食べていない時間のメリハリをつける」ことが大切です。

与えるおやつの砂糖をキシリトール製品に置き換えることも有効です。

歯に優しいお菓子もあります。
世界的な組織「トゥースフレンドリー協会」が認定したお菓子です。

歯は1日何回磨くの?

 むし歯菌が、砂糖を食べて、プラーク(歯垢)を作って酸を作るのがむし歯ですが。ところが、出来て24時間未満のプラーク(歯垢)は歯を溶かすくらい強力な酸(pH5.5以下)を作れません。プラーク(歯垢)が2日経ち、3日経ち成熟してくると強力な酸を作ります。ですので、子どもの歯磨き(仕上げ磨き)はむし歯予防ですので、24時間のうち1回キレイにしましょう。1回で100%キレイにできないので、2回磨いても3回磨いても結構です。大人は、歯周病予防や口臭ケアもありますので毎食後に歯磨きをお勧めします。

いつ磨く?

こどもの仕上げ磨きは、1日1回しましょう。では、いつ磨きましょう?むし歯菌が 砂糖を食べて 酸を作って 歯を溶かし 唾液がその酸を薄めてくれて 元の中性の口の中に戻してくれます。夜間は唾液が出ない時間帯ですので、寝ている時に歯が汚れていると、むし歯が進みます。「むし歯は夜進む」のです。

ですので、仕上げ磨きは 夕食後、これ以上砂糖の入っているものを口にしない時間で、子どもの機嫌のいいときに、磨きましょう。寝る直前ではぐずることもあります。

寝おっぱい(添い乳)はいいの? いいんです!

 ミュータンス菌は、砂糖(糖)を食べて酸を作って歯を溶かします。母乳の中には「乳糖」という糖が入っています。試験管の中では(in vitro)ミュータンス菌は乳糖から酸を作ります。ところが不思議なことに、口腔内では(in vivo)酸を作りません。だから母乳を飲ませてむし歯にあることはありません。添い乳はOKです。
(母乳だけで0.001%むし歯ができるという報告もありますが・・・)
 ところが、厄介なことに、離乳食(食べ残し)があって、そこに母乳が加わると、爆発的にむし歯がすすむという報告(エリクソン)もあります。
 添い乳をするときは、おっぱいを飲ませる”前“に上の前歯の裏表をごしごしガーゼなどで拭っておっぱいを与えましょう。与えた後に歯を磨くなんてむりですから。

母乳育児をしていて、むし歯になるのは上の前歯です。ここさえ磨いていれば大丈夫です。

仕上げ磨きはいつまでするの?

 歯が生えたら仕上げ磨き開始です。はじめはガーゼなどでもOK。溝のある奥歯(臼歯)がはえたならハブラシが必要です。こどもが満足に歯を磨けるようになったら、こどもに歯磨きの練習をさせて「仕上げ磨き卒業」です。子どもに絵をかかせてみて「遠近感のある絵が描ける」小学校高学年くらいが目安です。最初から最後まで、大人が隅から隅まで磨いてもOKですし、就学して永久歯が生えてきたら「永久歯だけ大人が磨く」でも結構です。小学校も半分すぎると生意気になって磨かせてくれないこともあります。そういう時は週末に赤染(歯垢の染出し液)して、落ちるまで本人に磨かせる。というのでもアリです。

小学校卒業までは、たまにでも大人が見てあげるのがいいですね。

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